HBM市場で韓国2強が火花、SKハイニックスとサムスンの明暗を投資家目線で読み解く

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なかの@投資大好き

10年以上の投資経験を持つ個人投資家。日本株、米国株、韓国株、ETF、投資信託などを経験。普段はサラリーマン。

HBM市場が急拡大、なぜ今このテーマが熱いのか

生成AIブームの陰の主役として、HBM(High Bandwidth Memory)が半導体業界で一気に注目を集めています。ChatGPTやMidjourneyといったAIサービスを支えるのは、NVIDIAのGPUだけではありません。そのGPUと一体化して膨大なデータを高速処理するHBMこそが、AI性能を左右する心臓部になっているのです。

2023年のHBM市場規模は約40億ドル。これが2025年には100億ドルを超え、2027年には200億ドル規模にまで拡大するとの予測もあります。この急成長を牽引しているのが、NVIDIAの「H100」や「H200」といったデータセンター向けGPU。これらには1チップあたり最大6層ものHBMが搭載され、1台のサーバーに数十個のGPUが使われるため、HBMの需要は爆発的に伸びています。

このHBM市場を事実上独占しているのが、韓国の2大メモリメーカー、SKハイニックスサムスン電子です。両社で世界シェアの9割以上を占めており、残りをわずかにマイクロンが追う構図。つまりHBM投資を考えるなら、この韓国2社の動向を見極めることが最重要になります。

SKハイニックスが圧倒的にリード、シェア50%超えの理由

現在のHBM市場で圧倒的な優位に立っているのが、SKハイニックスです。2024年第4四半期時点で、HBM市場における同社のシェアは約50~55%と推定されています。一方のサムスン電子は約30~35%、マイクロンが10%前後という構図です。

なぜSKハイニックスがここまでリードできたのか。最大の理由は技術開発への早期投資と顧客との密な連携にあります。同社は2018年頃からNVIDIAと協業し、HBM2世代から量産体制を構築。HBM3においても先行して量産を開始し、NVIDIAのH100向けに独占的に供給してきました。さらに2024年には次世代のHBM3Eでも先手を打ち、H200やH100向けの主要サプライヤーとしての地位を確立しました。

技術面でも優位性があります。HBMは複数のDRAMチップを垂直に積層する構造のため、発熱や歩留まりが課題になりますが、SKハイニックスは12層積層のHBM3Eを安定量産できる技術力を持っています。これに対しサムスンは歩留まり改善に時間がかかり、NVIDIAの認証取得で後れを取りました。

財務的にも、この優位性が如実に表れています。SKハイニックスの2024年第4四半期営業利益率は約30%を超え、HBM事業だけで見れば利益率はさらに高いとの見方も。株価も2023年初めから2024年末までに約2倍以上に上昇し、韓国株の中でも最も勢いのある銘柄の一つとなっています。

供給能力の拡大も加速中

SKハイニックスは2025年にもHBM生産能力をさらに拡大する計画で、韓国・利川工場と中国・無錫工場への投資を進めています。NVIDIAの次世代GPU「B100」「B200」向けにも既に供給契約を締結しており、この優位性は当面続く見込みです。

サムスン電子の巻き返しは成功するのか、遅れの背景と今後

一方のサムスン電子は、メモリ市場全体では世界最大手でありながら、HBMでは明らかに出遅れました。2024年前半まで、同社のHBMはNVIDIAの品質認証を通過できず、実質的にH100やH200への供給ができない状態が続いていたのです。

この遅れの理由として指摘されているのが、技術開発の優先順位のミスと内部体制の�硬直性です。サムスンはDDR5やLPDDR5といった汎用DRAMの開発に注力しすぎ、HBM市場の急拡大を読み切れなかったとの見方があります。また、積層プロセスにおける発熱管理や接合技術でSKハイニックスに後れを取り、量産品の歩留まりが安定しませんでした。

しかし、サムスンも手をこまねいているわけではありません。2024年第3四半期以降、同社はHBM3E量産の本格化と品質改善に成功し、NVIDIAからも一部認証を取得。H200の一部や中国向けGPU「H20」への供給を開始しました。また、AMDやGoogleといったNVIDIA以外の顧客への供給も拡大しており、シェア挽回に向けた動きが見え始めています。

2025年には次世代のHBM4開発でも巻き返しを図る構えで、設備投資額も大幅に増やしています。特に平沢工場への投資を加速し、2025年後半にはHBM生産能力を倍増させる計画です。

サムスンの強みは総合力と資金力

サムスンの強みは、ファウンドリ(半導体受託製造)やシステムLSI事業との連携が取れること。自社でAIチップを開発する顧客に対し、HBMとロジックチップを一体で提案できる優位性があります。また、財務基盤の厚さでは韓国随一であり、巻き返しに必要な投資を惜しみなく実行できる体力があります。

投資家としてどちらを選ぶべきか、判断のポイント

では、個人投資家としてSKハイニックスとサムスン、どちらに投資すべきなのか。それとも両方持つべきなのか。ここが一番気になるところでしょう。

短期〜中期(1〜2年)でHBMテーマに乗りたいなら、SKハイニックスが優位です。既にシェアを握り、収益化が進んでおり、2025年もNVIDIAの新製品向け供給が確約されています。株価は既に大きく上昇していますが、HBM需要の拡大ペースを考えれば、まだ上値余地があるとの見方が多数派です。ただし、PER(株価収益率)は既に20倍前後まで上昇しており、割安感はありません。

一方、中長期(2〜3年以上)でリスクを取りつつリターンも狙うなら、サムスンも面白い選択肢です。現在の株価はHBM遅れを織り込んでおり、PERは10倍前後と相対的に割安。巻き返しが本格化すれば、株価の上昇余地は大きいと言えます。また、サムスンはHBM以外にもファウンドリやスマホ、家電など多様な事業を持つため、ポートフォリオの安定性では上です。

併せて確認すべきポイント

  • NVIDIA依存度:SKハイニックスはNVIDIA向けが収益の大半を占めるため、NVIDIAの販売動向に業績が大きく左右される
  • 中国リスク:両社とも中国に生産拠点を持ち、米中対立の影響を受けやすい
  • 為替:韓国ウォン安は輸出企業にプラスだが、過度な変動は業績予想を狂わせる
  • 次世代技術:HBM4以降での競争力がどちらに傾くかは、まだ見通せない

このテーマで見落としやすい3つのリスク

HBM関連株に投資する際、見落としがちなリスクを3つ挙げておきます。

第一に、AI投資バブル崩壊のリスクです。現在のHBM需要は、生成AIブームに支えられています。しかし、AIインフラへの投資が過熱しすぎているとの指摘もあり、調整局面に入ればHBM需要も急減する可能性があります。特にNVIDIAの株価が大きく調整すれば、連動してSKハイニックスやサムスンも売られるでしょう。

第二に、米中対立と輸出規制の強化です。米国は中国向けの先端半導体輸出を段階的に制限しており、HBMも規制対象に含まれる可能性があります。また、SKハイニックスやサムスンが中国で生産するHBMに対し、米国が供給制限を求める事態も想定されます。既にマイクロンは中国市場から事実上締め出されており、韓国勢も無関係ではいられません。

第三に、マイクロンの追い上げと価格競争です。米国のマイクロンもHBM生産能力を急拡大しており、2025年後半には本格供給を開始する見込み。米国政府の支援もあり、競争が激化すれば価格下落圧力となり、SKハイニックスやサムスンの利益率を圧迫するリスクがあります。

結論:今は「買い」だが、分散と出口戦略は必須

結論として、HBM関連の韓国株は現時点では「買い」と判断します。AI需要の拡大は2025年も続く見込みであり、SKハイニックスもサムスンも業績拡大が期待できるからです。

ただし、SKハイニックス単独での集中投資はリスクが高いと考えます。既に株価が上昇しており、NVIDIA依存度も高いため、調整局面では大きく下落する可能性があります。サムスンを併せて保有することで、リスク分散とリターン追求を両立できるでしょう。

また、2025年後半以降は利益確定のタイミングを意識すべきです。HBM市場の成長が一巡し、供給過剰や価格下落が見え始めたら、早めに撤退する判断も必要になります。韓国株は海外投資家の売買に左右されやすく、テーマが剥落すると急落するリスクがあるため、出口戦略は常に考えておくべきです。

新興国株らしいボラティリティを楽しみつつ、冷静にリスクも見据える。それがHBM関連韓国株との正しい向き合い方だと言えるでしょう。

SKハイニックス単体のHBM占有率については、こちらの記事で詳しく解説している。

SKハイニックス HBM占有率は何%?市場シェアを解説

最終更新日:2026年4月17日 | 著者:なかの@投資大好き

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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