エアバッグのリコール問題が明るみに出たタカタ(東京都港区 東証1部 コード7312)。
トヨタ・ホンダ・日産・マツダ・GM・富士重工・三菱自動車・BMWに納品する部品メーカーです。
まさに一流と呼べる企業。
ジャパンブランドを背負っている企業なので、復活を期待したいところです。
タカタは2016年11月4日、私的整理(英語:voluntary liquidation)で再建を目指すことを発表。
私的整理とは聞きなじみのない言葉です。
過去には脱毛サロン最大手「ミュゼプラチナム」が私的整理や任意整理と報道されました。
一体どのような解決方法なのでしょう?
なぜ、タカタは私的整理を選んだのか?
会社が再生を目指す方法として、債務超過をどのように扱うかが問題となります。
要は膨らんだ借金をどのように解決するかということです。
私的整理の前に、まず、法的整理をご説明します。
法的整理は払えなくなった借金を払いやすくしたり、帳消しにすることを、法律に基づいて行うことです。
代表的なのが破産です。
破産は裁判所に申し立てをすることから始まります。
破産管財人が就き、財産の整理を行います。
財産をすべてお金に替えて、債権者に財産の範囲内で返します。
財産がすべてなくなると、破産者は借金がなくなります。
と同時に、債権者は債権が強制的に無効になってしまいます。
例えば、あなたがAさんに10万円貸していたとしましょう。
Aさんは毎月5,000円ずつ返していましたが、60,000円がまだ返してもらえていない時に、Aさんが破産の申し立てをしました。
Aさんの財産がすべてお金に換えられ、総額で50万円ありました。
これなら、60,000円返ってくる、と思いきや・・・
Aさんはあなた以外にもBさん、Cさんからお金を借りていました。
しかも、Bさんには100万円、Cさんには50万円の借金が残っています。
そこで、50万円を分けていくことになり、あなたは3万円返してもらえることになりました。
「ちょっと待って!まだ3万円返してもらってない!!」
そう思っても、法的に整理され、あなたが3万円返してもらえないまま、幕を閉じることになります。
以後、Aさんはあなたに3万円を返す義務が一切なくなる、これが破産です。
他には任意整理があります。
これは、弁護士や司法書士の管理の下、一定額ずつ支払っていくことです。
このケースが多く使われるのは、カード地獄に陥った時です。
計10社のサラ金を借りたとします。
各々月に1万円ずつ返していくとしても、月に10万円掛かります。
でも、支払うことができるのは月に5万円が限界・・・
しかも、利息はドンドン増えていく・・・
こうなった時に、任意整理を行います。
これだと、毎月5万円を支払うだけでよくなります。
任意整理を行った場合、利息がそれ以降増えることはありません。
似た方法で、民事再生があります。
これは裁判所が間に入って、借金を圧縮しつつ、債務者が支払える額に変更してもらえます。
ちなみに、ミュゼが任意整理や破産などとなれば、ミュゼに支払った前受金が返ってこない可能性があります。
ミュゼに関しては詐欺罪ではないかとも思いますが。
借金を苦に自殺する人がいますが、このように解決方法はあります。
困ったら、必ず弁護士や司法書士に相談して、一人で悩まないでください。
これらが法的整理です。
一方、私的整理は、
「債権者と話し合って、穏便に解決する。」
ことです。
破産や民事再生などの法的整理はデメリットとして、ローンやクレジットカードが5年ほど通らないことが上げられます。
法的に強制的に債権を奪われたのですから、貸す側としては当然貸したくないでしょう。
でも、私的整理は法的な介入がなく、あくまで民間同士の話し合いで解決するというものです。
そこで債権放棄や支払いを待つなどの結果が出たとしても、当事者間での合意があって成立する話です。
タカタは事業を継続するつもりですので、破産はあり得ません。
また、民事再生も法的な強制力が発動するので、今後の事業継続を考えると得策ではありません。
あくまで自力で解決するから、力を貸してほしい、そのようなスタンスを取っているのです。
タカタがどのように復活するのか、私は期待して止みません。