なかの@投資大好き
10年以上の投資経験を持つ個人投資家。日本株、米国株、韓国株、ETF、投資信託などを経験。普段はサラリーマン。
2026年のHBM市場は前年比60%成長の見込み、その背景とは?
HBM(High Bandwidth Memory)の需要が2026年に向けて急拡大する。市場調査会社TrendForceの最新予測によれば、2026年のHBM市場規模は前年比で約60%成長し、400億ドル規模に達する見通しだ。この成長を牽引しているのは、言うまでもなくAIデータセンター向けの需要。NvidiaのH100やH200、そして次世代のBlackwellといったGPUには、すべてHBM3やHBM3eが搭載される。
注目すべきは需給バランスの逼迫ぶり。2024年時点ですでにHBMは供給不足に陥っており、主要顧客であるNvidiaやAMD、Googleなどのハイパースケーラーは、2025年から2026年分の供給を確保するために長期契約を結んでいる。つまり、価格交渉力は完全に供給側にある。メモリ市場でこれほど供給側が有利な状況は、DRAM黄金期以来といってもいい。
さらに重要なのは技術的な参入障壁の高さ。HBMは複数のDRAMチップを垂直に積層し、超高速でデータをやり取りする必要がある。この製造には、TSV(Through Silicon Via)技術や先端パッケージング技術が不可欠で、量産できるメーカーは世界でも限られる。現時点で量産体制を持つのは韓国のSK hynixとSamsung、そして米Micronのみだ。
韓国2強の独占市場、SK hynixとSamsungどちらに投資妙味があるか
HBM市場のシェア争いは、事実上SK hynixとSamsungの一騎打ちになっている。2024年第4四半期時点で、SK hynixが約50%、Samsungが約40%、Micronが約10%という構図だ。ここで投資家が気にすべきは、シェアだけでなく「誰がNvidiaの主要サプライヤーか」という点。
結論から言えば、SK hynixがNvidiaとの関係では一歩リードしている。同社はHBM3eの量産で先行しており、NvidiaのH200やBlackwell向けに優先的に供給している。一方、Samsungは歩留まり改善に時間がかかり、Nvidiaからの認定取得が遅れた。ただし、2025年後半からはSamsungもHBM3e量産を本格化させており、2026年には両社ともフル稼働が見込まれる。
投資判断としては、SK hynixは「買い」、Samsungは「やや買い」といったところ。SK hynixは2024年通期で営業利益率が20%を超え、HBM事業単体ではさらに高い利益率を叩き出している。株価は既に上昇しているが、2026年までの受注残が積み上がっていることを考えれば、まだ織り込み不足と見る。
Samsungについては、HBM以外の事業(スマホ、家電、ファウンドリ)が足を引っ張る可能性がある点に注意。ただし、HBM事業が本格的に利益貢献し始めれば、株価の再評価余地は大きい。特にファウンドリ事業とのシナジーを狙った戦略が奏功すれば、中長期では面白い。
装置メーカーや後工程企業にも投資機会
HBMそのものを作るメーカーだけでなく、製造装置や後工程パッケージングを手掛ける企業にも注目したい。韓国ではHanmi SemiconductorやTOPSがTSV関連装置を供給しており、台湾ではASE TechnologyやAmkorといったOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)企業がHBMパッケージングで存在感を増している。
こうした周辺企業は、メモリメーカーほど注目されていない分、バリュエーションが割安なケースが多い。2026年に向けてHBM需要が拡大する過程で、装置投資や外注需要が増えるため、株価の上昇余地は意外と大きい。
中国の追い上げと地政学リスクをどう見るか
HBM投資で見落としてはいけないのが、中国の動向だ。現時点で中国メーカーはHBM量産に成功していないが、CXMT(長鑫存儲技術)やYMTC(長江存儲科技)といった国策半導体企業が開発を急いでいる。中国政府は半導体自給率向上を国家目標に掲げており、HBMも例外ではない。
ただし、米国の輸出規制が中国のHBM開発を大きく制約している。特に先端EUV露光装置やTSV関連の製造装置は、米国の規制対象になっており、中国企業が入手するのは困難。仮に技術的に追いついたとしても、NvidiaやAMDといった米系顧客には供給できない。つまり、中国メーカーがグローバル市場で脅威になるには、まだ数年かかる。
一方で、地政学リスクとして警戒すべきは台湾有事や韓国の政治的不安定性。韓国は世界のHBM供給の9割以上を担っており、仮に朝鮮半島情勢が悪化すれば、供給途絶リスクが顕在化する。こうしたリスクを嫌う投資家は、分散の観点から米Micronにも一定の資金を振り向けるべきだろう。Micronは市場シェアこそ小さいが、米国政府の支援を受けて国内生産を拡大しており、地政学リスクヘッジとしての価値がある。
為替と業績サイクル、韓国株特有の注意点
韓国株に投資する際、為替リスクは無視できない。韓国ウォンは新興国通貨の中では比較的安定しているが、それでも米ドル/ウォンレートは1ドル=1,200ウォン前後から1,400ウォン近辺まで変動する。特に米国の金利動向や中国経済の減速が重なると、ウォン安が進みやすい。
ウォン安自体は、輸出企業であるSK hynixやSamsungにとっては業績面ではプラス。ただし、日本の投資家がウォン建てで保有している場合、円換算リターンが目減りする可能性がある。為替ヘッジをかけるか、あるいは米ドル建てADRで保有するか、戦略を事前に決めておくべきだ。
また、半導体メモリ市場は典型的な循環産業であり、好況期と不況期を繰り返す。2023年は在庫調整で業績が底を打ったが、2024年から2025年はAI需要で急回復。そして2026年も成長が続く見込みだ。しかし、その後については慎重に見る必要がある。AIデータセンター投資が一巡すれば、需要は一時的に鈍化する可能性がある。長期で持つなら、2026年後半から2027年前半にかけて一旦利益確定を検討するのも戦略として有効だろう。
結論:2026年HBM需要は「買い」だが、銘柄選択と出口戦略が鍵
2026年に向けたHBM需要拡大は、ほぼ確実なトレンドと言っていい。AI市場の成長、供給の寡占状態、高い参入障壁という三拍子が揃っており、投資対象としての魅力は高い。特にSK hynixは、技術力・顧客関係・収益性のすべてで優位性があり、現時点での第一選択肢だ。
一方で、Samsungも2025年後半からの巻き返しが期待でき、株価がまだ割安なうちに仕込むのも一手。装置メーカーやOSAT企業も、リスク分散と高リターン狙いで組み入れる価値がある。
ただし、リスク管理は怠らないこと。地政学リスク、為替リスク、そして業績サイクルの反転リスクは常に意識しておくべきだ。2026年がピークになる可能性も視野に入れ、利益確定のタイミングを事前にシミュレーションしておくことが、この投資で勝つための鍵になる。
最終更新日:2026年4月17日 | 著者:なかの@投資大好き
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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