なかの@投資大好き
10年以上の投資経験を持つ個人投資家。日本株、米国株、韓国株、ETF、投資信託などを経験。普段はサラリーマン。
HBM市場は2027年まで年率40%成長の見通し
HBM(High Bandwidth Memory)の需要予測が、半導体業界で大きな注目を集めています。市場調査会社TrendForceによると、HBM市場は2024年の約100億ドルから、2027年には約250億ドルへ拡大する見込み。年平均成長率は40%超という驚異的なペースです。
この成長を牽引しているのは、言うまでもなくAIサーバー需要。ChatGPTをはじめとする生成AIの学習・推論には、NVIDIA H100やH200といったGPUが必須ですが、これらのGPUには必ずHBMが搭載されています。1台のAIサーバーに搭載されるHBMの容量は増え続けており、2023年は1台あたり80GB程度だったものが、2025年には150GB超、2027年には200GBを超えるとの予測も。
従来のDRAMと違い、HBMは製造難易度が高く、参入障壁が非常に高い。現時点で量産できるのはSK hynix、サムスン電子、Micron Technologyの3社のみ。特にSK hynixはHBM3Eで先行しており、NVIDIAへの供給シェアは50%超とされています。
投資家にとって重要なのは、この成長が「一過性のブーム」なのか、それとも「構造的な需要」なのかという点。結論から言えば、2027年までは構造的な需要が続く可能性が高いと見ています。
メモリ市場サイクルは今どこにいるのか?
半導体メモリは典型的なシクリカル(循環的)産業。好況と不況を繰り返すのが常です。過去のサイクルを振り返ると、2017〜2018年のスーパーサイクル、2019年の暴落、2020〜2021年のコロナ特需、そして2022〜2023年の在庫調整という流れでした。
では、現在のメモリ市場はどこにいるのか?2024年第2四半期から明確に回復局面に入っています。SK hynixの2024年第4四半期決算では営業利益率が20%を超え、サムスン電子のメモリ部門も黒字転換。DRAM価格は2023年末を底に、2024年は前年比30〜40%上昇しました。
ただし、ここで注意したいのが「HBMとそれ以外のメモリでサイクルが分離している」という点。従来型のDDR4/DDR5 DRAMやNANDフラッシュは、PC・スマホ需要に左右されるため、依然として需給が緩い状態。一方、HBMは完全に供給不足。SK hynixもサムスンも、2025年もHBM生産能力を倍増させる計画ですが、それでも需要に追いつかない見込みです。
つまり、「メモリ全体は回復局面、だがHBMだけは別次元の成長市場」というのが現在地。この構造を理解しておかないと、投資判断を誤ります。
過去のサイクルとの違いは何か?
過去のメモリブームは、主にPC・スマホ・サーバーといった「汎用機器」の需要拡大が起点でした。そのため、需要がピークを迎えると一気に在庫調整が起こり、価格が暴落するパターンが繰り返されてきました。
しかし今回のHBMブームは、AIインフラという「産業インフラ」の構築需要が起点。GoogleやMicrosoft、Metaといったメガテック企業は、今後数年間で数千億ドル規模のAIインフラ投資を計画しています。これは単なる「製品の買い替え」ではなく、「新しいインフラの構築」。需要の持続性が従来とは桁違いです。
SK hynix、サムスン、Micronの競争構造を読む
HBM市場で最も注目すべきは、SK hynixの圧倒的な先行優位です。同社は2024年時点でHBM市場シェア約50%を握り、NVIDIAの最新GPU向けHBM3Eを独占供給。技術的にも一歩先を行っており、2025年にはHBM3E 12段積層の量産を開始予定です。
サムスン電子は後れを取っていましたが、2024年後半から巻き返しを図っています。NVIDIAの認証を取得し、2025年からH200向けHBM3Eの供給を開始。ただし、歩留まりや性能面でSK hynixに及ばないとの指摘もあり、シェア奪還には時間がかかりそうです。
Micronは米国企業として、地政学的な優位性を持ちます。米国政府のCHIPS法による補助金を受け、米国内でのHBM生産能力を拡大中。中国リスクを嫌う米国顧客にとっては、Micronが唯一の選択肢となる可能性も。
投資家目線で見ると、SK hynixは「技術とシェアの先行者」、サムスンは「巨大資本力での追撃者」、Micronは「地政学的ヘッジ」という位置づけ。どれか一つに絞るのではなく、ポートフォリオとして分散するのが賢明でしょう。
2027年までの投資判断は「買い」だが、タイミングに注意
結論から言えば、HBM関連銘柄は2027年まで「買い」スタンスで臨むべきと考えます。理由は以下の3点。
- 構造的な需要成長:AIインフラ投資は今後数年間続く見込み。HBM搭載量も増え続けるため、需要は二重に拡大
- 供給の寡占構造:参入障壁が高く、価格決定力を維持しやすい
- 利益率の改善:HBMは従来DRAMの3〜5倍の価格。メーカーの利益率は大幅に改善
ただし、タイミングには注意が必要です。SK hynixの株価は2024年に3倍近く上昇しており、短期的には割高感も。決算発表後の調整局面や、地政学リスクが意識されるタイミングでの押し目買いが現実的でしょう。
また、HBM以外のメモリ事業の動向にも目を配るべき。従来型DRAMやNANDの在庫調整が長引けば、企業全体の業績にブレーキがかかる可能性があります。SK hynixのようにHBM比率が高い企業ほど恩恵を受けやすいという点も押さえておきましょう。
新興国投資家が注意すべきリスクは3つ
HBM投資には、新興国株投資家特有のリスクも存在します。
1. 韓国ウォンの為替リスク
SK hynixもサムスンも韓国企業。ウォン高が進めば、円建て・ドル建てでのリターンは目減りします。2024年はウォン安が進んだため、日本の投資家にとっては追い風でしたが、2025年以降は不透明。為替ヘッジ付きのETFや、米国ADRを活用するのも一案です。
2. 地政学リスク(米中対立・北朝鮮情勢)
韓国企業は常に地政学リスクにさらされています。特に米国の対中輸出規制が強化されれば、中国向け売上が減少。SK hynixは中国に大規模工場を持つため、規制の影響を受けやすい構造です。また、北朝鮮情勢の緊迫化も株価の急落要因となり得ます。
3. AI投資の息切れリスク
最大のリスクは、AI投資が予想より早く減速するシナリオ。現時点では各社ともAI投資を拡大していますが、収益化が進まなければ投資を絞る可能性もゼロではありません。ただし、2027年までは各社とも明確な投資計画を示しており、短期的にはこのリスクは限定的と見ています。
結論:HBMは2027年まで成長継続、押し目買いが基本戦略
HBM需要は、2027年まで年率40%超の成長が見込まれる「構造的成長市場」。メモリ市場全体のサイクルとは別次元で動いており、従来のシクリカル投資の常識は通用しません。
投資判断としては、SK hynix、サムスン電子、Micronを中心に「買い」スタンスが妥当。ただし、2024年の急騰を経て短期的には割高感もあるため、決算後の調整や地政学リスク顕在化時の押し目を狙うのが賢明です。
韓国ウォンの為替リスク、米中対立による地政学リスク、AI投資の息切れリスクには常に注意を払いつつ、長期での成長を取りにいく。それがHBM投資の基本戦略となります。
メモリ市場のサイクルは読みにくいものですが、今回はAIという明確なドライバーがある点が過去と異なります。この波に乗り遅れないためにも、今のうちから関連銘柄をウォッチリストに入れておくことをおすすめします。
最終更新日:2026年4月17日 | 著者:なかの@投資大好き
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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