なかの@投資大好き
10年以上の投資経験を持つ個人投資家。日本株、米国株、韓国株、ETF、投資信託などを経験。普段はサラリーマン。
TSMCの2025年設備投資は過去最高水準、何が起きているのか
台湾の半導体受託製造最大手TSMCが、2025年の設備投資額を380億〜420億ドル(約5.5兆〜6兆円)に引き上げると発表しました。これは前年比で約20%増、過去最高水準です。
背景にあるのは明確。AI向け先端半導体の需要爆発です。NVIDIAやAMD、AppleといったAI・データセンター向けチップの製造を一手に引き受けるTSMCは、3nmプロセス以下の最先端ラインへの投資を急ピッチで進めています。特に注目すべきは、2nm世代の量産準備が2026年に前倒しされる見込みという点。これは単なる需要対応ではなく、競合であるサムスンやIntelとの技術競争が激化している証拠でもあります。
台湾政府も半導体産業を「国家の生命線」と位置づけ、税制優遇や電力供給の優先配分など、全面的にバックアップ。TSMCの設備投資拡大は、台湾経済全体の成長エンジンになっています。
ここで個人投資家が注目すべきは、TSMC株そのものではなく、TSMCに製造装置を納入する「装置メーカー」です。TSMCが投資額の7割以上を製造装置購入に充てるため、その恩恵を直接受ける企業群が存在します。
台湾向け半導体製造装置で圧倒的シェアを持つ企業はどこか
TSMCの設備投資拡大で最も恩恵を受けるのは、露光装置のASML(オランダ)、エッチング装置の東京エレクトロン(日本)、検査装置のKLA(米国)、成膜装置のアプライドマテリアルズ(米国)です。
ASML(ティッカー: ASML)は、EUV露光装置で事実上の独占企業。2nm、3nmプロセスにはEUV装置が不可欠であり、TSMCの先端ライン増強はそのままASMLの受注増に直結します。2024年第4四半期決算では受注が前年同期比で約50%増加し、2025年の売上ガイダンスも上方修正されました。株価は既に高値圏ですが、EUV需要の独占構造を考えれば、まだ割高とは言い切れません。
東京エレクトロン(証券コード: 8035)は、TSMCへのエッチング装置、成膜装置で高いシェアを持ちます。特に3D NAND向けだけでなく、ロジック半導体向けの装置でも強みを発揮。2025年3月期の業績予想は前期比で増収増益、営業利益率も25%超と高収益を維持しています。日本株としては円安メリットも享受しやすく、投資妙味は高い。
他にも、アドバンテスト(6857)はテスト装置でシェアトップ、SCREENホールディングス(7735)は洗浄装置で強みを持ちます。これらの企業はTSMCだけでなく、サムスン、Intelにも納入しているため、台湾リスクを分散できる点も評価できます。
主要半導体装置メーカーの台湾向けエクスポージャー
| 企業名 | 主力製品 | 台湾向け売上比率 | 投資判断 |
|---|---|---|---|
| ASML | EUV露光装置 | 約30% | 買い |
| 東京エレクトロン | エッチング・成膜 | 約25% | 買い |
| アプライドマテリアルズ | 成膜・CMP | 約20% | 買い |
| KLA | 検査装置 | 約18% | 様子見 |
| アドバンテスト | テスター | 約15% | 買い |
台湾株の半導体装置関連、現地上場企業にも注目すべきか
台湾市場には、TSMCのサプライチェーンに組み込まれた装置・部材メーカーが多数上場しています。代表例がHERMES MICROVISION(証券コード: 3658.TW)、Scientech(証券コード: 6651.TW)、Gudeng Precision(証券コード: 2476.TW)などです。
これらの企業は、ASMLや東京エレクトロンといった大手装置メーカーに部品を納入したり、製造後の検査・メンテナンスを担当したりする「サブサプライヤー」です。TSMCの設備投資拡大の恩恵を受けやすい一方、規模が小さく流動性も限られるため、個人投資家には少しハードルが高い。
ただし、台湾株特有のメリットもあります。それは配当利回りの高さです。台湾企業は利益の大部分を配当で還元する文化が根強く、配当利回り4〜6%の銘柄も珍しくありません。長期保有を前提にするなら、インカムゲイン狙いで組み入れる選択肢もあります。
ただし、台湾株には為替リスクと地政学リスクが常につきまといます。台湾ドルは米ドルに対して比較的安定していますが、日本円から見れば為替変動の影響は無視できません。また、中国との緊張関係が高まれば、台湾株全体が売られるリスクもあります。
今は「買い」なのか、それとも「待ち」なのか
結論から言えば、ASML、東京エレクトロン、アドバンテストは「買い」です。理由は明確で、TSMCの設備投資拡大が2025年から2026年にかけて本格化するため、これらの企業の受注・売上が今後確実に伸びるからです。
特に東京エレクトロンは、円安メリットと高い営業利益率、配当利回り2%超という条件が揃っており、日本株としては非常に魅力的。株価はPER20倍前後と決して割安ではありませんが、成長性を考えればまだ買い場と言えます。
ASMLはすでに高値圏ですが、EUV装置の独占構造を考えれば、長期的には上値余地があります。ただし、短期的には利益確定売りが出やすいため、押し目を待つのも一つの戦略です。
一方、KLAやアプライドマテリアルズは「様子見」。これらの企業も業績は堅調ですが、株価がすでに織り込み済みの水準にあり、短期的には上値が重い可能性があります。決算発表後の押し目を狙うのが賢明でしょう。
台湾現地株については、流動性リスクと地政学リスクを考慮すると、初心者には推奨しづらい。ただし、台湾ETF(例: iシェアーズ MSCI 台湾 ETF)を通じて分散投資するのは有効な選択肢です。
見逃せないリスク、地政学と米中対立の影響
台湾半導体関連投資で最も警戒すべきは、地政学リスクです。中国が台湾に対する圧力を強めれば、台湾株全体が急落するシナリオは常に存在します。特に2024年の台湾総統選以降、米中対立が激化する可能性もあり、その場合TSMCへの投資も影響を受けます。
また、米国の対中半導体規制も無視できません。米国はすでに中国向けの先端半導体製造装置の輸出を規制していますが、今後規制が強化されれば、ASML、東京エレクトロン、アプライドマテリアルズの中国向け売上が減少し、業績に影響が出る可能性があります。
さらに、半導体市場のシクリカル(循環的)な性質も忘れてはいけません。AI需要が一巡すれば、設備投資も減速します。2023年のように急激な調整局面が訪れる可能性もゼロではありません。
為替リスクも考慮すべきです。日本株の場合、円高局面では輸出企業の業績が圧迫されます。東京エレクトロンやアドバンテストは為替感応度が高いため、円高局面では一時的に株価が下落するリスクがあります。
結論:今買うなら東京エレクトロンとASML、分散ならETFも視野に
台湾の半導体設備投資拡大は、2025年から2026年にかけて本格化します。その恩恵を受ける装置メーカーは、今後確実に業績を伸ばす見込みです。
個人投資家が今買うべきは、東京エレクトロン(8035)とASML。東京エレクトロンは日本株として買いやすく、円安メリットもあります。ASMLはEUV装置の独占企業であり、長期的な成長が見込めます。アドバンテスト(6857)も、テスター需要の増加を考えれば買い候補です。
リスクを分散したいなら、台湾ETFや半導体セクターETFを活用するのも有効。ただし、地政学リスクと米中対立の動向は常にウォッチしておく必要があります。
半導体設備投資は「集積度」が勝負を分けます。TSMCが圧倒的なシェアを持つ今、そのサプライチェーンに組み込まれた企業は、まさに勝ち組と言える。今が仕込み時かもしれません。
ASEANのデータセンター需要も半導体市場全体を押し上げる要因として見逃せません。データセンター向けの高性能チップ需要が高まれば、TSMCの稼働率もさらに上昇します。こちらも合わせてチェックしておくと、投資判断の精度が上がるはずです。
最終更新日:2026年4月17日 | 著者:なかの@投資大好き
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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