なかの@投資大好き
10年以上の投資経験を持つ個人投資家。日本株、米国株、韓国株、ETF、投資信託などを経験。普段はサラリーマン。
2025年第1四半期、韓国半導体輸出は前年比+20%超の回復
韓国の半導体輸出は2025年に入って明確な回復基調に入っています。韓国貿易協会のデータによれば、2025年1〜3月期の半導体輸出額は前年同期比で20%以上の伸びを記録。特にメモリ半導体の価格が底を打ち、DRAMとNANDフラッシュの両方で需給バランスが改善してきたことが大きい。
背景にあるのは、2023年から続いた在庫調整の一巡です。PCやスマートフォン向けの需要は依然として弱いものの、データセンター向けの高性能メモリ需要が急拡大。特に生成AI向けのHBM(High Bandwidth Memory)がけん引役となり、サムスン電子とSKハイニックスの両社がフル稼働に近い状態になっています。
ただし、この回復が「本物」かどうかを見極めるには、2025年下半期から2026年にかけての持続性を慎重に見る必要があります。過去の半導体サイクルでは、短期的な価格反発の後に再び需給が緩むパターンも多かったためです。
2026年まで続くか?メモリ価格の持続性がカギを握る
2025年の回復が2026年も続くかどうか。ここが投資家にとって最も重要な論点になります。
現時点での見通しは「慎重ながらもポジティブ」。理由は以下の3点です。
- AI需要の構造的拡大:生成AIモデルの学習・推論にはHBMが不可欠。エヌビディアやAMDのGPU需要が旺盛なうちは、この需要は崩れにくい。
- 供給サイドの規律:サムスンとSKハイニックスは2023年の苦境を教訓に、無秩序な増産を控えています。中国勢も米国の輸出規制で最先端品への参入が難しく、供給過剰リスクは低下。
- スマホ・PC需要の底打ち:2024年後半から買い替えサイクルが復活の兆し。Windows 11への移行やiPhoneの新機能投入が追い風になる可能性があります。
一方で、2026年にかけてのリスクも無視できません。特に注意すべきは、中国経済の低迷とスマホ市場の伸び悩み。韓国の半導体輸出の約4割は中国向けであり、中国市場の減速は直撃します。また、HBM需要がAI投資の一時的なバブルに過ぎないとの見方もあり、過度な期待は禁物です。
2026年のメモリ価格予測をどう見るか
市場調査会社TrendForceによれば、DRAMの契約価格は2025年Q2に前四半期比+10〜15%、2026年Q1までに累積で30%程度の上昇が見込まれています。この予測が実現すれば、サムスンやSKハイニックスの営業利益率は2026年に過去最高水準に近づく可能性もあります。
ただし、この予測は「AI需要が想定通り伸びる」「供給側が規律を守る」という2つの前提に依存している点を忘れてはいけません。
サムスン電子とSKハイニックス、どちらが買いか?
韓国半導体セクターへの投資を考えるなら、この2社が中心になります。両社の2025〜2026年の見通しを比較してみましょう。
サムスン電子:総合力はあるが、HBMで出遅れ
サムスン電子は世界最大のメモリメーカーですが、HBM市場ではSKハイニックスに完全に先行を許しています。エヌビディア向けの供給実績で遅れを取り、2025年Q1時点でのHBMシェアは10%程度にとどまっています。
ただし、サムスンは巻き返しに本気です。2025年中にHBM3E(第5世代HBM)の量産体制を整え、エヌビディアやAMD、クラウド大手への供給拡大を狙っています。成功すれば2026年には収益貢献が本格化する可能性もあります。
株価は2025年4月時点で7万ウォン前後。PER(株価収益率)は15倍程度であり、割高感は限定的。配当利回りも2%台後半と悪くありません。
SKハイニックス:HBMで先行、利益率改善が鮮明
対するSKハイニックスは、HBM市場で圧倒的な先行優位を持っています。エヌビディアのH100、H200向けに独占的に供給しており、2025年Q1時点でのHBMシェアは約50%。営業利益率も2024年Q4に20%を超え、急回復しています。
2026年にかけても、AI需要が続く限りこの優位性は揺るがないでしょう。ただし、株価は既にこの期待を織り込んでおり、PERは20倍前後と割高感もあります。短期的な調整リスクには注意が必要です。
結論としては、リスクを取れる投資家ならSKハイニックス、バランス重視ならサムスン電子という選択が妥当でしょう。両社への分散投資も一案です。
見逃せない韓国特有のリスク:ウォン安と地政学
韓国半導体株への投資では、企業の業績だけでなく国特有のリスクも織り込む必要があります。
ウォン安の影響は複雑
2025年に入ってウォンは対ドルで1,300ウォン台後半と、やや弱含みで推移しています。ウォン安は輸出企業にとって追い風とされますが、半導体の場合は少し複雑です。
サムスンやSKハイニックスは製造装置や素材の多くを輸入に依存しており、ウォン安はコスト増要因にもなります。特に最先端製造装置はオランダのASMLや米国のアプライドマテリアルズからの輸入が不可欠であり、為替リスクは無視できません。
ただし、競合の台湾企業(TSMC)や米国企業と比べれば、ウォン安はやや有利に働くという見方もあります。総じて、ウォンの動きは「プラスにもマイナスにもなり得る」と考えておくべきでしょう。
中国との関係悪化リスク
韓国は米中対立の板挟みになっています。米国は同盟国である韓国に対し、中国への半導体輸出規制への協力を求めており、韓国企業は難しい立場に置かれています。
仮に米国が規制を強化し、韓国企業が中国向け輸出を大幅に制限されれば、輸出額の4割に影響が出る可能性もあります。また、中国側も報復措置として韓国製品への関税強化や規制を行うリスクがあります。
この地政学リスクは2025〜2026年にかけても燻り続けるでしょう。投資家はこのリスクを常に頭に入れておく必要があります。
投資判断:2025年は「買い」、2026年は「慎重な継続保有」
最後に、個人投資家としての投資判断をまとめます。
2025年については「買い」と判断します。理由は以下の通りです。
- メモリ価格の底打ちが明確になり、在庫調整も一巡している
- AI需要という新たな成長ドライバーが加わり、需要の持続性が期待できる
- サムスン、SKハイニックスともに業績回復が鮮明で、株価にはまだ上昇余地がある
ただし、2025年中に投資するなら、株価が一時的に調整したタイミングを狙うべきです。特にSKハイニックスは既にかなり上昇しており、押し目を待つのが賢明でしょう。
2026年については「慎重な継続保有」が適切だと考えます。HBM需要が持続すれば業績はさらに伸びますが、以下のリスクが顕在化する可能性もあるためです。
- AI投資の一巡による需要減速
- 中国経済の低迷による輸出減少
- 米中対立の激化による地政学リスク
- メモリ価格の再下落リスク
2026年に入ったら、四半期ごとの業績と出荷動向を丁寧に追い、リスクが高まったと判断したら一部利益確定も検討すべきでしょう。
韓国半導体株は、2025年という「今」が最も投資妙味のあるタイミング。ただし、2026年以降の持続性については慎重な姿勢を忘れずに。短期で大きく取るのではなく、冷静にリスクとリターンを天秤にかけながら投資することをおすすめします。
韓国半導体輸出の回復シナリオについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。最新の輸出統計や企業動向を深掘りしています。
最終更新日:2026年4月17日 | 著者:なかの@投資大好き
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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