なかの@投資大好き
10年以上の投資経験を持つ個人投資家。日本株、米国株、韓国株、ETF、投資信託などを経験。普段はサラリーマン。
この記事は、HBM(高帯域幅メモリ)市場の勢力図を把握し、Micronへの投資判断を下したい個人投資家向けに書いている。
結論:Micronは現在HBM市場でシェア5〜8%と後発だが、米国政府の支援・NVIDIAの調達多様化・2026年後半のHBM3E量産本格化により、2027年にはシェア15〜20%到達が見込まれる。ただしSK hynix・Samsungの技術優位は依然として大きく、短期的な株価上昇を狙うより、2026年後半以降の量産実績を確認してからの押し目買いが賢明だ。
SK hynixとSamsungが9割超を支配するHBM市場の現状
2026年4月時点で、HBM市場は韓国勢の寡占状態にある。SK hynixが全体の約50〜55%、Samsungが約35〜40%のシェアを握り、両社合計で90%を超える。残る10%弱をMicronと中国CXMT(長鑫存儲技術)が奪い合う構図だ。
SK hynixは2018年にHBM2を世界で初めて量産し、NVIDIAのA100・H100向けに独占的に供給してきた実績がある。現在もHBM3EではSK hynixが最も高い歩留まりを実現しており、NVIDIAの次世代GPU「Blackwell」向けにも優先的に採用されている。Samsungは2024年にHBM3Eの供給でNVIDIAの認証を一度落としたものの、2025年後半に再認証を取得し、2026年に入ってからGoogle・Amazon向けに供給を拡大中だ。
Micronは2024年第4四半期(2024年9月〜11月)にHBM3Eのサンプル出荷を開始し、2025年第2四半期(2025年3月〜5月)から量産を開始したものの、歩留まり改善に時間がかかった。その結果、2026年第1四半期(2026年1月〜3月)の時点でもHBM売上高は全体の10%未満に留まっている。ただし、2026年4月に入ってからアイダホ州Boiseの工場でHBM3Eの歩留まりが90%を超えたと発表しており、ようやく本格量産の目処が立った。
| 企業名 | 2026年4月時点シェア | 主要供給先 | 技術世代 |
|---|---|---|---|
| SK hynix | 50〜55% | NVIDIA、AMD | HBM3E 12-hi(12層積層) |
| Samsung | 35〜40% | Google、Amazon、AMD | HBM3E 12-hi |
| Micron | 5〜8% | NVIDIA(限定)、Intel | HBM3E 8-hi・12-hi |
| CXMT | 1〜2% | 中国国内AI企業 | HBM2E |
Micronがシェア拡大できる3つの理由|米国政府・NVIDIA・供給逼迫
後発のMicronがシェアを伸ばせる根拠は3つある。第一に、米国政府によるCHIPS法(半導体・科学法)の補助金だ。Micronはアイダホ州とニューヨーク州に合計615億ドルを投じてHBM製造拠点を拡張中で、うち61億ドルの補助金を受け取る。バイデン政権・トランプ政権を通じて「韓国・台湾依存からの脱却」が超党派の合意事項となっており、米国内での半導体生産を支援する政策は今後も継続する見込みだ。
第二に、NVIDIAが調達先を分散させる動きを強めている点。2024年まではSK hynixにほぼ全量を依存していたNVIDIAだが、2025年後半からSamsungを追加し、2026年に入ってからはMicronにも小ロットで発注を開始した。これはSK hynixの供給能力が限界に達しており、Blackwell世代のGPU増産に対応できないためだ。NVIDIAの2026年第1四半期決算説明会では、「2026年下半期にHBM調達先を3社体制にする」と明言されている。
第三に、HBM市場全体の供給逼迫が続いている点。TrendForceの調査によれば、2026年のHBM需要は前年比80%増の見込みだが、供給能力の増加は50%程度に留まる。SK hynixは韓国・清州工場の増強を進めているが、クリーンルーム建設に時間がかかり、2026年第4四半期まで本格稼働しない。Samsungも平澤工場での増産を急いでいるが、歩留まり改善に苦戦している。この需給ギャップが、Micronにとっての「入り込む余地」を生んでいる。
投資判断|2026年後半の量産実績を確認してから押し目買いが正解
現時点でMicron株を積極的に買い増すべきかと問われれば、答えは「待ち」だ。理由は3つある。
まず、Micronの2026年第2四半期決算(2026年6月発表予定)でHBM売上比率が15%を超えるか確認すべきだ。同社は2026年通年でHBM売上を全体の20%まで引き上げる目標を掲げているが、2026年4月時点では10%未満に留まっている。目標達成には、第2四半期・第3四半期で急激に出荷を増やす必要がある。これが実現できなければ、シェア拡大シナリオは後ろ倒しになる。
次に、SK hynixが2026年第4四半期に稼働予定の清州新工場の影響を見極める必要がある。この工場が予定通り立ち上がれば、SK hynixの月産能力は現在の約1.5倍に増える。その結果、NVIDIAがMicronへの発注を減らし、再びSK hynix集中に戻る可能性もゼロではない。
最後に、Micron株は2026年3月に1株あたり130ドル台まで上昇した後、4月に入って110ドル前後まで調整している。これはHBM期待が既に株価に織り込まれた結果であり、ここから更なる上昇を狙うには「実績」が必要だ。2026年第2四半期決算でHBM売上比率が15%を超え、かつNVIDIAからの追加受注が公表されるまで待つのが賢明だろう。
買い判断の目安は以下の通り:
- 株価が100ドルを割り込んだタイミング(PER 10倍前後)
- 2026年第2四半期決算でHBM売上比率15%超を確認
- NVIDIAまたはAMDから長期供給契約の発表
新興国・地政学リスク|韓国依存と中国CXMTの追い上げに注意
Micronへの投資には、新興国特有のリスクも考慮すべきだ。第一に、韓国への依存度が依然として高い点。MicronはHBM用DRAMチップの一部を韓国・台湾のファウンドリに外注しており、これらの国で地政学的緊張が高まれば供給途絶のリスクがある。特に2026年に入ってから北朝鮮が短距離弾道ミサイル発射を繰り返しており、韓国・清州工場周辺の安全保障環境は予断を許さない。
第二に、中国CXMTの追い上げだ。CXMTは現在HBM2E世代に留まっているが、中国政府が「半導体自給率70%」を掲げて巨額の補助金を投じており、2027年までにHBM3世代の量産を目指している。もしCXMTがHBM3Eを量産できれば、中国国内市場(ByteDance・Baidu・Alibaba向け)でMicronのシェアを奪う可能性がある。ただし、米国の輸出規制によりCXMTは最先端EUV露光装置を入手できず、技術的ハードルは依然として高い。
第三に、台湾TSMCがHBM市場に参入する噂がある点。TSMCは現在、3D積層技術「SoIC」を用いてHBMとロジックチップを一体化する技術を開発中だ。もしこれが実用化されれば、SK hynix・Samsung・Micronの全てが競争力を失うリスクがある。ただし、TSMCは「我々はファウンドリに専念する」と公式には否定しており、2026年4月時点では噂の域を出ていない。
| リスク要因 | 発生確率 | 影響度 | 対応策 |
|---|---|---|---|
| 韓国地政学リスク | 中 | 大 | 米国内生産比率の引き上げ |
| CXMT追い上げ | 低〜中 | 中 | 米国輸出規制の継続 |
| TSMC参入 | 低 | 大 | 顧客との長期契約締結 |
| SK hynix増産 | 高 | 中 | NVIDIAとの関係深化 |
まとめ|シェア拡大は確実だが、買い急ぐ必要はない
Micronは2026年4月時点でHBM市場シェア5〜8%と後発だが、米国政府の支援・NVIDIAの調達多様化・供給逼迫を背景に、2027年にはシェア15〜20%到達が見込まれる。ただし、SK hynix・Samsungの技術優位は依然として大きく、短期的な株価上昇を狙うのはリスクが高い。
投資判断としては、2026年第2四半期決算でHBM売上比率が15%を超えるか確認し、株価が100ドルを割り込んだタイミングで押し目買いするのが賢明だ。韓国地政学リスク・中国CXMTの追い上げ・TSMCの参入可能性といった不確定要素も考慮し、ポートフォリオ全体の10〜15%以内に抑えるのが適切だろう。
焦って今買う必要はない。2026年後半にかけて、Micronの量産実績とNVIDIAからの追加受注を確認してから動いても遅くはない。
Micronの投資判断については、需要面からの分析も重要になる。NVIDIAへの供給動向や2026年後半の受注見通しについて、別記事で詳しく解説しているので参考にしてほしい。
MicronのHBM投資判断|なぜ今買わず2026年後半待ちが正解か
最終更新日:2026年4月17日 | 著者:なかの@投資大好き
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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