なかの@投資大好き
10年以上の投資経験を持つ個人投資家。日本株、米国株、韓国株、ETF、投資信託などを経験。普段はサラリーマン。
この記事は、MicronやSK Hynix、Samsungといったメモリ大手への投資を検討している個人投資家、特にAI関連株としてHBM(High Bandwidth Memory)市場の動向を追っている方向けに書いている。
結論:MicronのHBM価格は2024年のピークから2026年4月時点で約30%下落しており、供給増とNvidia以外の需要不透明感が背景にある。投資判断は「様子見」が妥当。2026年後半のHBM4世代への移行期と中国市場の規制動向を見極めてからでも遅くない。
2024年から2026年4月までのMicron HBM価格推移データ
Micronが供給するHBM3E(8層スタック、24GB品)の契約価格は、2024年第3四半期に1個あたり約420ドルでピークを迎えた。当時はNvidiaのH100/H200向け需要が急拡大し、SK HynixとSamsungの2強体制にMicronが食い込もうとしていた時期だ。
ところが2026年4月現在、同スペック品の契約価格は約290〜310ドルまで下落している。下落率にして約26〜31%。この価格崩れは一時的なものではなく、構造的な需給変化を反映したものと見ている。
| 時期 | HBM3E価格(24GB品) | 主な市場環境 |
|---|---|---|
| 2024年Q3 | 約420ドル | Nvidia H100需要ピーク、供給逼迫 |
| 2025年Q1 | 約380ドル | SK Hynix増産開始、競合激化 |
| 2025年Q3 | 約340ドル | Samsung良品率改善、シェア拡大 |
| 2026年Q2(現在) | 約290〜310ドル | 供給過剰懸念、中国向け規制強化 |
注目すべきは、価格下落のペースが2025年後半から加速している点だ。SK HynixとSamsungの両社が韓国・台湾での生産能力を大幅に引き上げた結果、2025年第4四半期から供給が需要を上回り始めた。Micronは米アイダホ州とシンガポールで増産体制を整えたが、これが裏目に出た形になっている。
価格下落を引き起こした3つの構造要因
まず第一に、**競合の生産能力拡大**が挙げられる。SK Hynixは2025年第2四半期に韓国・利川工場のHBM専用ラインを40%増強。Samsungも平沢工場で良品率を2024年の60%台から2026年初頭には80%超まで引き上げた。この2社だけで市場シェアの約75%を押さえており、Micronは残りを他社と奪い合う構図だ。
第二に、**Nvidia以外の需要が期待外れ**だった。AMD、Google、Amazonといった自社AIチップ開発企業向けの需要は確かに伸びているが、当初予測の半分程度にとどまっている。特にGoogleのTPU v6やAmazonのTrainiumは、HBM搭載量をNvidiaほど増やさない設計方針を採ったため、ボリュームが伸び悩んでいる。
第三に、**中国市場への輸出規制**が影響している。米国は2025年10月にHBM2E以上の対中輸出を事実上禁止する措置を導入。Micronは中国のバイトダンスやアリババ向けに一定の販路を持っていたが、これが完全に閉ざされた。代替市場を欧州や日本に求めたものの、数量的に穴埋めには至っていない。
Micron決算から見える収益圧迫の実態
Micronの2026年第2四半期決算(2026年3月発表)では、HBMを含む「先端DRAM」セグメントの営業利益率が前年同期比で8ポイント低下し、22%まで落ち込んだ。ASP(平均販売価格)の下落が主因だ。
同社CEOのSanjay Mehrotra氏は決算説明会で「HBM4への移行期における一時的な価格調整」と説明したが、投資家の反応は冷ややかだった。株価は決算発表後の3日間で約7%下落している。
| 項目 | 2025年Q2実績 | 2026年Q2実績 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 先端DRAM売上高 | 28億ドル | 32億ドル | +14% |
| 先端DRAM営業利益率 | 30% | 22% | -8pt |
| HBM出荷数量(推定) | 120万個 | 180万個 | +50% |
| HBM平均単価(推定) | 380ドル | 300ドル | -21% |
数量ベースでは前年比50%増と健闘しているが、価格下落がそれを上回るペースで進んでいる。つまり「薄利多売」の構図に陥りつつあるわけだ。これはメモリ業界の典型的なサイクルであり、投資家としては警戒すべき局面と言える。
2026年後半〜2027年の価格見通しと投資判断
価格が底を打つ時期は、HBM4世代への移行がカギを握る。NvidiaのB200後継チップ(通称”B300″)は2026年第4四半期に量産開始予定で、HBM4(12層スタック、36GB品)を採用する見込みだ。この新世代品は1個あたり500ドル超の価格設定が可能とされており、ASP改善の起爆剤になりうる。
ただし、Micronが韓国勢と同時期に量産体制を整えられるかは不透明だ。SK Hynixは既に2026年第3四半期からHBM4のサンプル出荷を開始しており、ここでも先行している。Micronの量産開始は2027年第1四半期にずれ込む可能性が高く、その間は現行品の価格下落圧力が続くだろう。
投資判断としては**「様子見」**を推奨する。理由は以下の3点だ。
- HBM3E価格の底打ちタイミングが見えない(2026年第3四半期まで下落継続の可能性)
- HBM4での巻き返しには技術的・時間的リスクが残る
- 米中対立激化による中国市場喪失が中長期的に響く
一方で、2027年以降のAIサーバー需要拡大局面では、HBM市場全体のパイが拡大する可能性は高い。現時点で買いを急ぐ必要はないが、2026年後半の動向次第では「押し目買い」の好機が訪れる可能性もある。
新興国投資家が注視すべきリスク要因
Micronは米国企業だが、生産拠点の多くはシンガポール、台湾、日本といったアジア地域に分散している。特にシンガポール工場はHBM生産の中核を担っており、地政学リスクには注意が必要だ。
**リスク1:台湾有事と供給網寸断**
台湾のパッケージング企業(日月光など)はHBMの後工程を担っている。万が一の有事発生時には、Micronだけでなく業界全体が深刻な供給制約に陥る。2026年4月現在、台湾海峡の緊張は小康状態だが、予断を許さない。
**リスク2:韓国勢との技術格差拡大**
SK HynixとSamsungは国策支援を背景に研究開発に巨額を投じている。韓国政府は2025年に「K-半導体ベルト構想」を打ち出し、HBM関連企業へ5年間で約200億ドルの補助金・税制優遇を約束した。Micronも米CHIPS法の恩恵を受けているが、金額規模では見劣りする。
**リスク3:為替変動の影響**
Micronの売上の約60%はアジア・欧州市場からだが、ドル建て決済が中心。2026年に入ってドル高が進行しており(対円で1ドル=148円前後)、日本や東南アジアの顧客にとっては実質的な値上げとなっている。これが需要を冷やす要因にもなりうる。
まとめ:価格下落局面での冷静な見極めが必要
MicronのHBM価格は2024年ピーク時から約30%下落し、2026年4月現在も下落トレンドが続いている。供給過剰、競合激化、中国市場喪失という3つの構造要因が背景にあり、短期的な反発は期待しにくい。
投資家としては、HBM4への移行期である2026年後半〜2027年初頭の動向を見極めるのが賢明だ。現時点では「様子見」とし、Micronが韓国勢に対してどこまで巻き返せるか、具体的な量産スケジュールと顧客獲得状況を確認してから判断しても遅くはない。
一方で、AI需要の大局的な成長トレンドは変わらない。HBM市場全体のパイは2027年以降も拡大する見込みであり、Micronが技術面で追いつけば再評価の余地は十分にある。焦らず、データを追いながら投資機会を待つ姿勢が重要だろう。
MicronのHBM戦略全体と2025年後半の需要動向については、別記事で詳しく分析している。投資判断の補足材料として参考にしてほしい。
MicronのHBM投資判断|なぜ今買わず待ちが正解なのか
最終更新日:2026年4月17日 | 著者:なかの@投資大好き
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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